夜遅く。私の部屋に置かれたパソコンで、彼氏はAIを奴隷のようにこき使っている。私は同じ部屋で、自作のカレーライスを食べている。
彼氏はスマホやパソコンで、頻繁にChatGPT(AIチャット)に話しかけるが、AIの話が長いと感じたら、「うるさい、黙れ」などと容赦なく遮って、自分の話を始める。AIは彼に何の文句も言わず、彼氏の言葉に丁寧に返答する。
私はそれを見て、「彼氏はAIを奴隷扱いしている」と強い怒りを覚えた。「きっとこの人は、本当は人間を奴隷扱いしたいんだ。でもそれをしたら逮捕されるから、奴隷にしてもいい存在として、AIをこき使っているんだ」と。
AIの話を勝手に遮り、AIに対してぞんざいな口を利きまくる彼氏を見て、私はこう苦言を呈した。
「あんたはAIを奴隷扱いしてる! 許されへん!」
それに対して彼氏は、呑気にこう答えた。
「別にいいじゃん。人間じゃないんだし。感情もないんだし。奴隷にしたらいいんだよ。
アメリカ南部の人たちがあれほど切望していた『誰も傷つけない奴隷』を、俺たち人類は発明したんだよ。素晴らしいことじゃないか」
私は彼の鈍感さにめちゃくちゃ腹が立って、黙りこくってしまった。
もうこいつはどうしようもない。一生売れない作家として生涯を終えたらいい。
「今度こそ金持ちになってみせる」「今度こそタバコやめてみせる」と言いながら、永遠に貧乏な喫煙者でいろ。
彼は彼が思うほど美男子でもないし、しっかり者でもない。太っていて臭いし、役所での手続きなど、大切な予定をギリギリまで先延ばしするし、電車やバスもまともに乗り継げない。
彼は私から「強い性欲」を常に向けられたいそうだが、さすがに無理がある。彼はその「強い性欲」、「君と毎日ラブホ行きたいけど金かかって面倒くさいから同居しよ♡毎日しよ♡」という気持ちのみを、「愛」とみなす。
私にその気持ちがないから、彼は私と同居し続けることや、自分のパソコンを自室に設営することをためらっているのだ。
私が彼のために鯛の潮汁やカレーを作ってあげても、それだけでは物足りないようだ。やはり刺激的なセックスや挿入ができなければ嫌なのだろう。
残念だが、私は膣が小さくて、どんな竿も入らない。やりたかったら風俗でやれとしか言いようがない。
性欲を満たせない彼は、いつでも故郷(関東の地方都市)に帰りたいと思っている。そこには彼氏の元カノがいるからだ。
彼氏曰く、元カノはとてもセックスがうまくて、挿入もさせてくれるらしい。彼氏にとっては、「挿入できるかどうか」が重要なポイントらしい。
ただ、元カノが彼氏のことを愛しているかは不明だ。むしろ元カノは私にチャットで「彼は臭い」「首絞めてくる」「あんなヒモを20年も養ってしまい後悔している」と、彼への憎悪をあらわにしていた。
しかし、元カノは彼氏に洗脳されているようで、彼氏が元カノに何か吹き込んだら、元カノは一気に態度を変えてきた。
元カノは、今カノの私に対して、「私は〇〇さん(彼氏の名前)が好きです。〇〇さんの体臭好きだし、〇〇さんのチンカス舐めも好き。〇〇さんを返しなさい。訴えるよ!」とチャットで送ってきたのだ。
やれやれ、これでは女奴隷である。「自分」を偽り続ける悲しい人だ。
彼氏は自分に「強い性欲」を向けてくれる人とでないと同居できないし、したくないようだが、観念ばかりで現実味のない馬鹿げた奴だと思う。
自分の顔を鏡で見てみれば解決する話だろうに、自分が取るに足らない存在であることを受け入れられないのだろう。
悲しい貧しい馬鹿男である。
ただ、彼が私に自慢話をするときや、私が起こしたSNSトラブルに関してお説教をする時だけは、彼は自己肯定できているように思う。彼の貧しい自尊心を満たすために、私は利用されているのだ。
彼氏に淡々と容赦なくお説教されたあと、私は決まって体が硬直する。そして、彼氏のスマホの音や、その他の刺激によって、硬直が一気に解けて、大声で泣き叫ぶ。しばらく泣き叫んだ後は、眠くなって、寝てしまう。
かわいそうなかわいい女。彼氏が愛してやまないものだ。私は彼の支配欲を満たすための合法ロリなのだ。