①YMO
小学一年生の頃。
夜、家族で団らんしていると、父がどこからかCDを持ってきて、ラジカセでかけた。
「ちっちきちっちきちっちき」という音が流れてきて、その後「てってってー!」という大きな音が流れたので、私は一瞬で虜になった。
あのとき父がかけたのは、「YMOベストセレクション」だったと、後年ネットで知った。
それが私の音楽遍歴の始まりだった。
私はYMOに夢中になり、彼らの歌を始終口ずさんでいた。小学校の運動会(3学年上の兄の徒競走)で「ライディーン」がかかった時は、私は狂喜乱舞した。
大人になった今も、YMOは好きだ。これから余裕のある時に、YMOの全アルバムを聴いてみたいと思う。
父はYMOや坂本龍一のファンだけでなく、宇多田ヒカルのファンでもあり、車の中でずっと宇多田ヒカルの曲をかけていた。
私が生後2ヶ月のときに宇多田さんはデビューしているので、私は宇多田さんの曲とともに生まれ育ったということになる。
「Time Will Tell」「Automatic」「Distance」「First Love」など、日本語と英語交じりの曲が多く、英語の聞き取りには苦労したが、大人になってから歌詞を見ると、何と言っているかやっと分かった。
・宇多田ヒカル シングルコレクション Vol.1
でも、歌詞の一部が分からなくても、宇多田さんの歌は常に私の隣にいた。あの人のアルバムも全部聴いてみたいなあ。最近聴いた中でダントツは「BLUE」だ。
・宇多田ヒカル「ULTRA BLUE」(「BLUE」の入っているアルバム)
③キングクリムゾンなどのプログレッシブロック
小学校四年生ぐらいのとき、中学一年生でジョジョオタだった兄が、父に買ってもらった小さな音楽プレーヤーで、激しいロックをかけだした。
その曲を聴く前の私は、そういう激しいロックが大嫌いな、繊細な子だったが、その曲は私の心をわしづかみにした。
その曲は、キングクリムゾンの「21世紀の精神障害者」である。
・「クリムゾン・キングの宮殿」(「21世紀の精神障害者」が入っているアルバム)
それから、兄に導かれるようにして、キングクリムゾンやイェス、ピンクフロイド、ELPなどのプログレッシブロックにはまっていった。
高校卒業直後の不安定な私を夜な夜な支えてくれたのは、イェスの「危機」であった。スピリチュアルロックと言ってもいいほど癒し度が高い。イェスの音楽も私にとってとても重要な一部となっている。
・危機
私はコロナ禍が始まりたての頃に、キングクリムゾンの「エレファントトーク」という曲の動画を見た。そして、ベースのトニー・レヴィンと、リーダーのロバート・フリップに夢中になった。
・「ディシプリン」(「エレファントトーク」の入っているアルバム)
超絶技巧を持つ彼らは紛れもない天才であり、長生きしてくれていることに感謝している。
私は彼らの音が聴きたくて、キングクリムゾンのほぼすべてのアルバムをAmazonで購入し、聴き惚れた。
ただ、その時、トニー様にしつこくメールをして、ストーキングしてしまったことは、本当に申し訳ないと思う。彼から怒りのメッセージは一切なかったが、彼も相当怒っているに違いない。
でも、「おいお前、気持ち悪いからやめろ!」と怒っても仕方ないところを、黙って放置してくれているのだから、トニー様は本当に偉い方だと思う。その徳に感服するとともに、当時の私の社会性のなさを恥ずかしく思う。本当に申し訳ない。
2021年12月3日、私がキングクリムゾンの来日公演を聴きに行く頃には、トニー様へのストーキングは大人しくなっていた。彼が私をどう思っているかは分からないが……。
時はさかのぼり、2010年。当時小学六年生だった私は精神がとても不安定で、他人の咳やくしゃみや視線など、少しの刺激で頻繁に泣き叫び、よく学校を休んでいた。
そんなとき、母親の運転する車に乗って街をドライブするのが楽しみだった。母親の買い物でも何でも、車に乗る用事があったら、必ずついて行って、カーステレオでFMラジオを聴いた。
そして、2010年のある夏の日、ラジオから「ぽこぽこぽこ」という打楽器の音が流れてきて、「あーいでんてぃてぃーがーなあああーあい」という男性の歌が流れてきた。私はその急な展開にびっくりし、曲世界に引き込まれた。
あれはサカナクションの「アイデンティティ」という曲だった。「ドキュメンタリー」というアルバムに入っている。
その頃からだいぶ、ロックやテクノやEDMなど、激しい音楽への耐性がついてきて、楽しめるようになっていった。
「kikuuiki」というアルバムに入っている「目が明く藍色」は、サカナクションの中で一番いい曲だと思う。
サカナクションのスタジオアルバムは、最近出たリアレンジ&リミックスアルバム「懐かしい月は新しい月 Vol.2」以外は全て集めた。
「懐かしい月は新しい月 Vol.2」には、コーネリアス(小山田圭吾。過去に酷い障害者いじめをした)が参加しているので、私は一人の障害者として彼の音楽を避けたのだ。
それはそれとして、現在サカナクションのリーダーの山口一郎さんが、体調不良で苦しんでいるので、とても心配である。
⑤BTS、PSYなどのKPOP
高校を卒業してから、BTSという韓国のアイドルグループが流行るようになった。
私はリベラルを自称しつつも、なぜか強めの「韓国アレルギー」だった。今まで生きてきた中で、韓国や朝鮮への差別感情が結構蓄積されていたのだ。なので、彼らの歌に魅力と興味を感じつつも、向き合うことを避けていた。
それでも、レンタル屋さんに行くと、BTSのアルバムが、私に向かって「借りろ、借りろ」と主張してくる。私は韓国アレルギーをなんとか抑え、BTSのアルバム「FACE YOURSELF」を借りた。
「DNA」や、「NOT TODAY」など、彼らの曲は、とても魅力的で熱くて力強い曲ばかりだった。わざわざ異国語である日本語で歌ってくれているのが申し訳なかった。
そして、私は、レンタル屋さんで、「THE BEST OF 防弾少年団-JAPAN EDITION-」や、「The Map Of Soul 7」などを借りて聴いた。
・THE BEST OF 防弾少年団
・The Map Of Soul 7
そして、スポティファイで、彼らがヘルマン・ヘッセの「デミアン」をモチーフに作ったアルバム「Wings」を聴き、強い感動に包まれた。
私もヘルマン・ヘッセの「デミアン」に救われた一人なので、BTSの人たちもその本に感銘を受けたことがとても嬉しかった。
それから私は、KPOPの凄さをやっと認識できるようになり、PSYの「カンナムスタイル」や、ステラ・チャンの「ヴィラン」、CLCの「No」などをつまみ食いするようになった。「韓国アレルギー」はだいぶ治ってきたと言える。
・カンナムスタイル
・ステラ・チャン「Stella I」(「ヴィラン」が入っているアルバム)
・CLC「No.1」(「No」が入っているアルバム)
もっと韓国語を勉強して、彼らの歌が理解できるようになりたい。
⑥ピノキオピー、いよわ、米津玄師、YOASOBI、Ado、しぐれういなどのボカロ関連曲
2023年にピノキオピーやいよわに惚れ込む前の私は、ボカロを軽蔑していた。「あんなの機械が歌ってるんでしょ? 人間の歌じゃなきゃ嫌だ」と。
2023年春、私はとある人に死ぬほどの恋をし、興奮して夜も眠れず、食欲もなくなった。そして、夜な夜なユーチューブを開いて、雑多な音楽を聴き漁った。そんな中で、ボカロ曲への愛が生まれてきた。
ピノキオピーの「神っぽいな」や、いよわの「きゅうくらりん」は、今まで聞き惚れてきたプログレッシブ・ロックにそっくりの、ぶっ飛んだ構成の音楽だった。曲の途中でテンポを変えたり、キーを変えたりする。
私はもうすっかりボカロの虜である。元ボカロPであった米津玄師や、ボカロPのAyaseが作詞作曲するYOASOBI、ボカロPの方が楽曲提供しているAdoやしぐれういの虜でもある。
・ピノキオピー「META」(「神っぽいな」が入っているアルバム)
・いよわ「わたしのヘリテージ」(「きゅうくらりん」が入っているアルバム)
・米津玄師「STRAY SHEEP」
・YOASOBI「THE BOOK 3」
・Ado「残夢」
・しぐれうい「まだ雨はやまない」
ふう。私もいろんな曲にまみれて生きてきたんだなあ。音楽に関しては雑食性である。ジャンル問わず良い曲は良いと言うタイプである。これからも雑多な曲を楽しんでいきたい。